鼠径ヘルニア手術の術後の痛みや後遺症など観察項目は?食事は?

鼠経ヘルニアの手術後の経過や痛み、後遺症など

手術後の経過や痛み、後遺症当院では、日帰りの鼠経ヘルニア手術を行っています。当日にご自宅へお帰りいただいて安静を保っていただき、翌日からは日常生活への制限はあまりありません。入院する必要がないため、ストレスなくリラックスして安静を保てるというメリットがありますが、ご不安を感じる方もいらっしゃると思います。そこで、術後の経過などについて、ご説明いたします。

術後の経過

ご自分で確認する際には、下記の点をチェックしましょう。気になることがありましたら、些細なことでもすぐにお問い合わせください。当院で手術を受けた場合、帰宅後に安心して自宅療養していただけるように、こちらから定期的にお電話で術後の経過をお問い合わせしております。

手術後の経過チェック

創部

手術の傷跡の出血・腫れ・変色・熱感などを確認します。

痛みの有無

数日経過しても痛みが弱くならない、創部が治っても疼痛が残っているなどを確認します。

排便

正常な排便があれば、腸の蠕動運動が正常に機能しています

むくみ

下肢のむくみがないかを確認します。

術後にご注意いただくこと

入浴

翌日からシャワー、翌々日には入浴が可能です

食事

特に制限はありませんが、暴飲暴食など腸に大きな負担をかけることは控えましょう。

運動

術後2週間程度経過したらウォーキングなど、3週間経過したらほぼすべてのスポーツが可能になります。個人差がありますので、再開の時期については医師にご相談ください。

手術後の痛みについて

手術後の痛みについて鼠経ヘルニア手術は、手術後に座る、身体を起こす、しゃがむなどをした時に痛みが起きやすいとされていましたが、当院で行っている最新の鼠経ヘルニア手術は、手術後の痛みや突っ張るような感じが大きく軽減されています。また、術後30時間効果が持続する局所麻酔を行いますので、痛みのピークである当日と翌日はほとんど痛みなくお過ごしいただけます。局所麻酔が切れた時の痛みを軽減させるために1週間分程度の鎮痛剤もお渡ししていますが、ほとんどの方が1~2回の服用で痛みが気にならなくなったとおっしゃっています。

可能性のある後遺症・合併症

鼠経ヘルニアの手術が適切に行われていれば後遺症はありません。まれですが、合併症として下記のものが起こる可能性があります。

感染

外科手術の中で、鼠経ヘルニア手術は感染症リスクが少ない手術です。感染はほとんどありませんが、もしあった場合も洗浄や抗菌剤などの治療が有効です。ただし、メッシュが細菌感染を起こした場合には、メッシュを取り除く手術が必要になります。

疼痛

痛みや冷え、突っ張る感じなど、不快な症状を疼痛と呼びます。この疼痛が6ヶ月以上続くと慢性疼痛となります。疼痛は神経が走行する腹膜の外側で起こります。当院ではメッシュを神経のない腹膜前腔に留置するため、周囲の組織にダメージを与えることがなく、術後の慢性疼痛が起こることはほとんどありません。

その他

リンパ液である漿液がたまる漿液腫(しょうえきしゅ seroma/セローマ)、皮下出血による血種などが起こることもごくまれにあります。どちらもほとんどの場合、自然に吸収されて治癒しますが、治療が必要になるケースもゼロではありません。