治療方法・日帰り手術

鼠経ヘルニアの日帰り手術

鼠経ヘルニアの日帰り手術当院では、国内有数の鼠経ヘルニア手術を経験してきた加賀谷院長が、診療、日帰り手術、その後のフォローまで一貫して担当しています。
夏休み・冬休み・GWといった長期の休みを利用するケースが多いのですが、当院では日帰り手術を行っており、手術自体は20分程度で、院内滞在時間は4時間程度です。土日や金曜日の夜などの手術であれば、お仕事や学業に影響しないスケジュールでの手術が可能です。
特に強い症状がない場合、治療を後回しにしてしまうことが多い病気ですが、悪化させると日常生活にさまざまな支障が出てしまいます。重症化すると命にかかわる可能性もあります。ふくらみが戻らなくなって痛みが起こる嵌頓という状態になった場合、緊急手術が必要になることもあります。その場合には日帰り手術ができなくなり、入院が必要になります。そのため、早めの受診をおすすめします。気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

鼠径ヘルニア(脱腸)の治療方法について

鼠経ヘルニアは手術による治療が必要です。服薬や注射で鼠経ヘルニアを治すことはできません。また、ヘルニアはヘルニア門という筋肉がない部分から組織が出ている状態ですから、いくら腹筋を鍛えてもその部分に新しく筋肉をつけて塞ぐことはできません。

ヘルニアバンドについて

ヘルニアバンドはヘルニア門を圧迫して腸などが出てくるのを防ぐもので、脱腸帯とも呼ばれています。正確な位置に圧迫ができれば効果を見込めますが、動くとズレやすく継続した効果を得ることはできません。四六時中、正しい位置に直しながら生活するのは不可能ですから、既往症などがあって手術を受けることができない場合を除き、用いるメリットはほとんどありません。

鼠経ヘルニアの手術

鼠経ヘルニアの手術では、組織が出てしまうヘルニア門を塞ぎます。昔は、腹壁の筋肉を太い糸で縫い寄せることでヘルニア門を塞いでいましたが、術後の痛みや突っ張るような感じが強く出るため1週間程度入院する必要があり、さらに再発率も10%ありました。
こうしたデメリットを解決するため、現在は形状記憶人工素材であるメッシュで補強する新しい手術法が確立しています。穴の開いた洋服を当て布で補修するイメージを浮かべていただくとわかりやすいと思います。筋肉を無理に寄せて縫うことをしないため、術後の痛みがほとんどなくなり、日帰り手術が可能になっています。さらに、突っ張るような感じも軽く、再発率も1%以下になっています。
当院では、腹壁の弱い部分を面として全体に補強する1枚タイプのクーゲルメッシュを使用しています。腹壁の外側には神経が走行していますが、内側には神経がありません。そこで、メッシュを当てる場所を腹壁の内側にすることで神経損傷などの合併症も少なくなっています。手術を行う加賀谷院長は、クーゲルメッシュを考案したKugel(クーゲル)先生から直接指導を受けています。
手術自体は20分程度、院内滞在時間も4時間ほどですから、その日のうちにご帰宅いただくことができ、入院の必要はありません。

  • 鼠経ヘルニアの手術
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日帰り手術について

日本ではまだ鼠経ヘルニアの手術で1週間ほど入院することが一般的ですが、欧米だけでなく東南アジアを含め、鼠経ヘルニアの手術は日帰りで行っている国が圧倒的に多いのです。ご帰宅いただいても問題がない状態であえて入院するより、慣れたご自宅で安静を保っていただく方がストレスなく、リラックスして過ごせるため回復にも効果的です。ほとんどないとはいえ、院内感染リスクなども日帰り手術であれば軽減できます。手術によって起こる問題はほとんどが術後数時間以内に現れますから、それ以上院内に滞在してもメリットはありません。
ただし、持病があって経過観察が必要なケースや、ご高齢でお一人住まいなど、ご不安がある場合には提携病院での1泊入院も可能です。そして、この場合も1泊のみでご帰宅いただいて何ら問題はありませんし、不自由なこともありません。
当院では、安心してご自宅で療養いただけるよう、翌日に当院から患者様の方へお電話をさしあげています。そのため、翌日のご来院は必要ありません。術後の診察は1週間後ですが、遠方にお住まいなど直接ご来院が難しいケースでは、インターネットを利用してパソコン画面で傷の状態を確認するなども可能です。

最新の麻酔方法を実施

最新の麻酔方法を実施1週間ほど入院する従来の鼠経ヘルニア手術では、下半身が麻痺する腰椎麻酔を行っています。これでは術後、日帰りで歩いて帰ることはできません。また、膀胱が麻痺することもありますので、自力排尿ができずカテーテルを入れるなどの処置が必要になるケースもあります。
当院では、全身麻酔と局所麻酔を組み合わせた麻酔で手術を行っており、麻酔専門医が担当しています。全身麻酔は手術が終わった時に麻酔から覚めるよう厳密なコントロールができるため、術後に下半身の麻痺が残ることがありません。歩行や排尿を普通に行えるため、日帰りで鼠経ヘルニアの手術を受けていただけるのです。
局所麻酔を併用するのは、全身麻酔が切れた時の痛みを抑制するためです。手術終了時に術後30時間ほど効果が持続する局所麻酔を行います。これにより、痛みがピークとなる当日から翌日の痛みを軽減しています。なお、1週間分の鎮痛剤もご帰宅の際にお渡ししていますが、ほとんどの方が数回の服用だけですんでいます。

鼠経ヘルニアを放置すると危険です!

放置していると、強く腹圧がかかるなどの拍子にヘルニア門から腸が大量に出て戻らなくなることがあります。こうなった場合、ヘルニア門が強く腸を締め付けて腸に血が通わなくなり、放置していると腸が壊死してしまいます。こうした状態を嵌頓(かんとん)と呼び、とても危険な状態です。嵌頓を起こすと腸閉塞となり、腹部全体の強い痛み、嘔吐などを起こします。また、壊死した腸が破れてしまうと、そこから細菌を含んだ便が出てしまい、感染が広がって敗血症になり命にかかわる可能性があります。
嵌頓が起きた場合には緊急手術や入院が必要になってしまいます。さらに腸が壊死を起こしているケースでは腸の切除を行うため、さらに長期の入院が必要になってきます。
嵌頓は突発的に起こるもので、予測することができません。嵌頓が起こる前であれば日帰り手術が可能ですから、鼠経ヘルニアがある場合には、嵌頓を起こす前の早めの手術をおすすめしています。

鼠経ヘルニアの再発について

従来の手術法は10%程度の再発率がありましたが、当院で行っている最新式のメッシュを用いた手法であれば1%程度の再発率に抑えることができます。メッシュで広く覆うことにより、腹壁の脆弱な部分に過度な力がかからなくなるため、こうした低い再発率を実現できるようになっています。
ただし再発率がゼロではありませんので、再発する可能性もあります。その場合も適切な手術により治すことができます。ただし再手術はかなり複雑なプロセスを臨機応変に行っていく必要がありますので、執刀する医師にはかなりの経験が必要です。当院では日本有数の鼠経ヘルニア手術を経験してきた院長が、診療と手術だけでなく適切なフォローもしっかり行っておりますので、ご相談ください。